第2期FC-Cubicの更なる飛躍へ
理事長挨拶
技術研究組合FC-Cubicは、固体高分子型燃料電池システムの開発を支える共通基盤的な研究を推進することを目的として、2010年4月2日に民間企業5社と6大学、および産業技術総合研究所の合計12団体によって、産業技術総合研究所臨海副都心センターを活動拠点として設立されました。
そして我が国は、2017年に世界で初めてとなる水素の国家戦略である「水素基本戦略」を策定しました。これを皮切りに世界的に水素への期待が高まり、2022年までに日本を含め26の国・地域が具体的な政策としての水素戦略を策定しました。2020年10月には、2050年までにカーボンニュートラルの実現を宣言し、国の政策や水素・燃料電池産業の需要、意欲のある自治体の関心がさらに高まっています。2023年6月には水素基本戦略の改訂が再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議にて決定され、その中で、「燃料電池は世界の市場で、我が国の燃料電池がプラットフォーマーとしての地位を確立することを目指す」、「水電解装置市場は我が国も装置の安全安定稼働や部材の革新的な技術開発等で強みを発揮することのできる市場」「国、事業者・事業者団体等が大学・研究機関を支え、大学等が人材育成・高度化や人材供給の源泉となる知の好循環を生み出していく」が記載されています。
2020年から「開かれたFC-Cubic」を目指し燃料電池に関する技術課題や革新的な研究、技術開発の在り方、それを支える人材の活性化のために、日本が保有している最先端の技術を集結し、誰もが参加できる燃料電池研究開発のハブ機能である「評価解析プラットフォーム」をFC-Cubicが担っておりますが、こうした日本が掲げる水素基本戦略に記載されている内容は更に一段と高いレベルを目指すことを示唆しているものと理解しています。2023年度から新たに着手した水電解評価、人材育成講座を含め、引き続き国の期待におこたえするべく一層努力してまいりたいと考えております。
2021年には、理事長として、水素閣僚会議の民間パートに登壇する機会をいただき、世界中の研究団体と意見交換させていただきました。これをきっかけとして米欧を代表する研究者とのコミュニケーションの機会が格段に増え、多岐にわたる想い、お考えに触れさせて頂き、海外からの期待の高まりを感じています。
これからますます水素の普及に向けた活動や水素の普及が進み、これらの期待に応えるためには、豊富な水素がある環境での研究が不可欠です。自ら再生可能エネルギーから水素製造に取組み、県をあげて水素の普及に取組んでおられる山梨県に2023年4月からお世話になることになり約1年がたちました。
山梨県への移転を第2期FC-Cubicの新たな時代と言うべき時ととらえ、組合員一同団結し、皆様とともに水素・燃料電池の普及促進のための研究、コミュニティを通した将来の人材育成を実現するために、より開かれた活動推進に全力を注ぐ覚悟です。引き続きご指導、ご協力賜りますようお願いいたします。